変わらないものが大切
「この角度から富士山がよく見えるんです、家内はこの風景に誤魔化され東京から嫁いできたんですよ」と卒業生のHさんはいった。富士山はまさに甲州の宝である。
「今、私は田も畑も耕しておらないんです。田んぼは他人に貸している」といって案内してくれたが、家にはハウスにも露地にも所狭しと盆栽があった。盆栽専門の園芸農家である。
そして、所々に3つの蜜蜂の巣箱が点在してあった。「こうしておくとスズメバチにもやられないんですよ」と、黒紙の上に鳥もちが置かれていた。「スズメバチは黒い物を狙ってやってくるから」だという。
「私は農者大で哲学や文学、芸術のおもしろさを学ばせてもらった。工場見学や美術館巡りもとても楽しかった」という。「世の中、農業も社会も目まぐるしく変わる。でも、変わらないものもある。いや、変わってよいものもあるが、変わってはいけないものもある」といって、農業教育に大切なことは単なる技術的なことだけではなくて、こうした価値観を身につけること」と熱く語る。部屋には農業技術書ではなく、文学書や哲学書が並んでいた。
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