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柿風景

 ようやく秋らしくなった。日本の四季は本当に素晴らしい。その秋を彩る風景のひとつに柿がある。田舎・都会を問わずこの季節になると、庭にたわわに実る柿を目にする。ただ、田舎の柿といえば家をも覆い尽くすほどの大木を思い出すのに対し、都会で見る柿は小さくこぢんまりとしている。
 田舎育ちの私は、柿と言えば子どもの頃の柿泥棒を思い出す。いたずら坊主が叱られるのを承知で、一粒の柿欲しさに盗みを働くのだが、飽食世代にはこんな子供心は理解できないだろう。甘い物に飢え、かといって煎餅菓子も与えて貰えぬ昔の子どもたちにとって柿は、それほど魅力的なものだったのだ。菓子の「菓」は元々果物を意味する。今のクッキーのような菓子に恵まれない子どもたちにとって、柿はまさに菓子だったのだ。
 所によっては、嫁がせる娘に食べる不自由をさせまいと一本の柿の苗を持たせたとも聞く。つまり柿は、おやつとしてだけでなく主食代わりのものでもあったわけだ。そんな貴重な柿が、今あまり見向きもされないで、実りの時期を迎えている。田舎では大きな木に年末、へたをすれば年始まで実をつけたままである。

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