サイエンスカフェin明治大学(前編)
10月25日(土)に東京お茶の水にある明治大学でサイエンスカフェを開催しました。開催に当たっては、明治大学農学部長の田端先生はじめ多くの先生方にお世話になりました。学長室の隣の会議室は、総勢30名の学生や社会人が集まり東京の真ん中で農業経営や農業研究そして将来の自分の職業をみっちり考えるひとときとなりました。
はじめに農者大事務局長の齋藤が主催者として挨拶し、サイエンスカフェのねらいを話しました。一つは、学生や市民が日々口にしている食料を生産している農業経営者の話や農業の研究者の話を直接聞いて「食」や「農」に関心を持ってもらうこと。二つ目は、40年の歴史があり1200名の農業者を全国に送り出してきた農業者大学校が今年の4月からつくばに移転して、大卒者等を対象にした2年制の学校となった農者大を知ってもらうこと。そして農業という職業は、農学部以外の方も非農家にとっても、身近な職業になってきており、自分に農業をやっていくための力をつけて就農してほしいということです。 続いて明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科の上原教授が来賓として挨拶をされました。先生は農者大の2年次で学ぶ「流通・マーケティング論」の先生でもあります。先生は、これからの農業は「顧客志向型産業」であり日本の農業は経営をうまくやれば確実に儲かる。自分の学生時代の話だが、友人と卒業前に京都の町工場に行った。そこで世界一の企業になると夢を語る経営者に出会った。友人の一人はそれに惹かれて就職した。別の友人はこんな汚い小さな工場はイヤだと大企業に就職した。その町工場は今や新素材で世界的な企業となった「京セラ」だ。今の日本の農業はかつての京セラのようなものだ。産業は成長する前にその産業界に入ってこそおもしろい。と話されました。
次いで講演に入りました。
【若手農業経営者 岩田 修一 氏 農者大33期生】
演題は、「私と農業者大学校」です。岩田さんは、群馬県長野原町でキャベツ、レタス、トウモロコシ、ジャガイモ、大根などを大規模に栽培。夏場はみっちり働き冬場はインドや東チモールなど主に途上国に旅行しその際現地で知り合った人に「夏場自分の農場に来ないか」と誘ったりするそうです。岩田さんの農場にはそれらの外国人やボラバイトの京大、東大やボストン大学の学生などが来ていておもしろいそうです。実は婚約者は近くの別の農場にボラバイトに来ていて知り合ったそうです。フィアンセはこの日、岩田さんのパワーポイントの発表を補助していました。栽培は減農薬で肥料は土壌診断を行い勘に頼らない農業をしているとのこと。小さい時から農家・農村で育ったので自分には農業しかないと思っていたので農者大に入学した。学生時代に東チモールに行ってみてこんなに雨も降り気温も変化し四季のある何でも栽培できる日本を再認識した。技術も大事だがそれよりも「何で自分は日本で農業をやっていくのかという精神を認識することが大事だと思う。」と28歳の岩田さんは語っていました。
【農業研究者 農研機構 作物研究所 低コスト稲育種研究チーム長 根本 博氏】
演題は、「飼料用の水稲品種の開発について」です。根本氏は今や海外からの家畜飼料の高騰を背景に注目度アップの飼料用の水稲品種の開発について語りました。
20年前、根本氏が飼料米の研究を始めた頃、「おまえ達は人様の食べるお米をブタに食べさせるのか。とんでもないことだ」という冷たい反応だったが、今は、世界の穀物需給の逼迫などから、日本の田んぼを有効に使うことができる米を、主食用・加工用・飼料用と用途に合わせて有効に使っていくことが重要だと言う方向に変わってきており、研究がやりやすい環境になった。飼料用の稲品種には、稲を実だけでなく茎や葉まで丸ごと牛用に使う「飼料イネ」と保存性に優れる米粒を豚やニワトリに使用する「飼料米」に分類され、前者では、はまさり、クサホナミ、夢あおば、モミロマン等の品種を開発、後者では、ふくひびき、タカナリ等の品種を開発しているとのこと。米の品種開発には20年や30年かかると言うことを聞き、会場の学生達は、育種とは本当に息の長い地道な仕事だと言うことを感じて聞き入っていました。
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